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★9 隠者(ハミット)

●誰が見ても老人であることは間違いなさそうだ、そして頭巾のついた衣服から察すると修道士であり、神秘的な洞察の象徴のようなランプを片手に雪の積もった山中を孤独と沈黙の中で生きている。きわめて人間的であり我々と同じ地面をランプで照らしながら淡々と穏やかに道を歩いていく、振り返ることもなく遥か遠い行き先を眺めるでもなく、今この時に満足しながら緩やかに重々しく進んでいく。宗教的な体験や教会の定められた条件を強調する教皇(法王)と違う点は、人間が持つ普遍的な可能性と個人的な悟りを、ある程度まですべての人が得られるように導いてくれる。

●ランプの光と炎は六芒星に輝き、黄金色の炎は哲学者の黄金を示し、錬金術師が目指したという大地の奥深くに眠る、そして人間の本性の奥深くに埋もれている黄金ということだろう、この隠者はそれらの目標に達していることを暗示している。人間の魂と動物的本能の貧困化によって生じた精神的エネルギーの衰弱をよみがえらす為に、人々のより内面に向けられ、原初的なエネルギーにより未発見の自己を発掘しようとしている。

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